ぼくらのリノベーションまちづくり~ほしい暮らしは自分でつくる~ / 嶋田洋平
リノベーションまちづくりの分野で全国に旋風を巻き起こしている「リノベーションスクール」の主要メンバーで切り込み隊長の嶋田さん初の著書。 生い立ちから、建築を志し地元北九州の商店街の復興に携わり、リノベーションスクールに出会い、現在住んでいる東京の雑司ヶ谷のまちづくりに至るまで、半生のドキュメント。それがそのまま、リノベーションまちづくりが勃興し普及していく過程のドキュメントになっています。
リノベーションにもいろいろ種類があります。資本がある人がお金をかけて自分のため、投資のために行う個人的なリノベーションもありますが、こちらは「リノベーションままちづくり」。衰退したエリアで、家主に変わって小規模投資を行い、デザインやアイデアでクリエイティブな人を集め、静かに着実にまちを元気にしていきます。その過程や仕組みが詳細に書かれているので、これから実践したい人にもとても参考になります。新しい動きを立ち上げ、いままさに全国に広がっている動きをリアルタイムで追っているので、プロジェクトXを見る感じでぐいぐい読めます。
また、嶋田さんは設計事務所を運営しているのですが、家守会社も共同で立ち上げ、自ら古い空き物件を借り、リノベーションして転貸しすることで、家賃の差額から投資資金と設計料を回収されています。今までのやり方では、新築中心から中古のリノベーション中心になると設計事務所の仕事量は激減することが予想されますが、新しい時代の仕事のつくりかたが示されています。若い設計者には非常に参考になるのでは。
リノベーションまちづくりは、衰退していたエリアや空き家を民間のアイデアと少ない投資で再生する新しい動きで、国土交通省も「政策の宝庫」として密着追跡しているようです。これからの時代を先取りする内容なので、面白いですよ。単純に読みものとしてもとても面白いので、ぜひご一読ください!(日経BP社)
Write a Reply or Comment