「古寺巡礼」展/高梁市成羽美術館
仕事で成羽町に行った際に成羽美術館の前を通ったので、前から見たかった写真家 土門拳の「古寺巡礼」展を見てきました。土門拳は、木村伊兵衛と並ぶ日本の写真界のパイオニアで巨匠です。当初は報道写真を中心に活動していたのですが、友人に案内してもらった奈良の室生寺で仏像に魅せられ、仕事の少ない戦争中に撮影に通うなど、のめり込んでいきます。脳出血で倒れた後は、車椅子でも撮影しやすい古寺と仏像をライフワークとして撮り続けていきました。
私もお寺や仏像が好きで、たくさん見ているのですが、土門拳のすごいところは、お寺や仏像をじっと見続けていると迫ってくるいろいろなものを、そのままガバッと写真に写り取った迫真的なところです。普通は被写体を素材に、自分の表現でいろいろと料理をするような写真家が多いと思いますが、そのまま写し取る姿勢は写真の真髄と言えるのではないでしょうか。
実際に見たことのある仏像の、時間をかけて見ないと見えてこない良さがそのまま写っているので、学生時代に最初に見たときは本当に驚きました。被写体のよさをそのまま写す、その基本的なことが一番難しいのではないでしょうか。
仏像のよさが分からない人が見ると、基本的な見方を感じられるかもしれません。
高梁市の成羽町美術館は建築家の安藤忠雄の設計です。江戸時代にこの辺りを治めていた領主の陣屋の跡に建っています。石垣を上ると、コンクリート打ち放しの大きな壁が。
順路に沿ってスロープを上がると、裏山の緑が目に飛び込んできます。
角を曲がると、棚田のイメージの大きい水面を見ながら、スロープでエントランスに導かれます。
エントランスを入ると大きな吹き抜けのあるホールと池のある中庭が見えます。(この写真は、中庭の反対側からエントランスホール方向を撮影)
この日は梅雨の曇りの日で、中庭の池に蓮の花が咲いていました。モネの睡蓮の絵みたいですね。展示を見て外に出ると、梅雨らしい紫陽花(アジサイ)の花が咲いていました。
高梁市成羽美術館の「古寺巡礼」展、6月26日の日曜日までなので、ぜひご覧ください。生地の山形県酒田市の土門拳記念館に行かなくても、実物のプリントを見られる機会は少ないですよ!同時に安藤忠雄の建築も見られます。
高梁市成羽美術館のサイトはこちら。http://www.kibi.ne.jp/~n-museum/domonken.html
山形県酒田市の土門拳記念館はこちら。http://www.domonken-kinenkan.jp/
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