空き家対策の新法案は移住につながるか?
今日の日本経済新聞に、国土交通省が、全国で増え続ける「空き家対策」として、空き家を「準公営住宅」として活用する案を検討していることが記事になっていました。公営住宅の建設費を抑制するとともに、子育て世代の支援の両立をねらうとのこと。
この法案、上手に活用すると、田舎への移住支援へ繋げることができるのではないでしょうか。田舎に行くほど立派な木造の空き家がたくさんありますが、持ち主はなかなか知らない人に貸したがらないもの。また、都会から田舎に移住したい人は借りられる空き家を探していますが、なかなか見つからないことが多いのは高知に移住したイケダハヤトさんのブログでも触れられています。
http://www.ikedahayato.com/20151215/49640927.html
祖父の出身の家とお墓がある瀬戸内海の本島でも、都会から家族で移住したい人が、かなり熱心に借りられる空き家を探したそうですが、見つけられなくてあきらめて帰られたそうです。貸す側からすると、ほんの少しの家賃で知らない人に貸すのは、リターンが少ないので不安の方が多いのが実情なんですよね。
しかし、この仕組みを使えば、あいだに役場などの自治体が入るので、貸す方も安心だし借りる方も安心で、物件も見つけやすいのではないのでしょうか。あとは、それぞれの間に入って上手にコーディネートする人がいると鬼に金棒ですね。
ただ、ひとづだけ問題があって、準公営住宅として性能基準を満たすためのリフォームへの補助が出るのはいいのですが、田舎の伝統工法の家は、最近の木造在来工法の家と構造の考え方が根本から違うので、今の構造基準を満たすリフォームをするのがとても難しいんですよね。阪神大震災を踏まえて、伝統工法の民家でも耐震補強ができるよう、関西の若手の構造設計者たちが取り組んでつくった計算法をJASCA関西が出してはいるのですが、地方の工務店のレベルでは理解が難しいと思います。
今の法案は、都市部の空き家を前提に検討されている気がするので、地方の田舎向けには構造の基準が緩和されるなど、複数のパターンがあるような検討をしてほしいものです。その辺りが上手に検討されると、下手な地方創成予算よりも、ずっと移住促進と地方の活性化につながるのではないでしょうか。
まだ法案の検討をはじめたばかりで、2017年の通常国会への関連法案の提出を目指すとのことなので、これからいろいろな検討がされるのだと思います。素案が固まった段階で「パブリックコメント」といって、インターネット等も含めて、一般市民の声を聞く機会も設けられると思うので、地方の田舎の空き家を借りやすくするよう、意見を出していきたいものですね。地方の田舎の自治体などが、陳情の際に田舎で活用しやすくなるよう要望を直接国土交通省に出していただけるといいのですが。
これからも法案の様子を追跡していきたいと思います。
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