河は眠らない/開高健 文藝春秋刊
2015年5月20日WA-SA-BIな読書日記, 小説・エッセイ Standard
在りし日の70年代、80年代を象徴する作家、開高健の没後20年を記念するフォトエッセイ。アラスカのキーナイ川のサーモン釣りの旅を写真と開高健の語り口調で記録。晩年の開高健が釣りについて語りながら、人生についても語っている。「無駄を恐れてはいけないし、無駄を軽蔑してはいけない。」「何かを手に入れたら何かを失う。これが鉄則です。何ものも失わないで何かを手に入れることはできない。」など、人生を示唆する言葉がならんでいます。美しいアラスカの写真と合わせて、心が洗われる一冊です。「自然の森やら河やらの中に入っていって、いろいろなものが見えてくるのは、三十五歳以後ぐらいじゃないのかしら。」と筆書も語るように、40代以降の人が読むと、また違った感慨があるのではないでしょうか。写真は青柳陽一。
~世界の工場として邁進し、都市化が進む中で、一方で自然とゆとりを皆が求めていた、80年代日本の息吹も感じられる一冊です。~
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