老いと人生の豊かさを考えさせられる映画 「人生フルーツ」
今日は久しぶりに、シネマクレールで映画を見てきました。その名も「人生フルーツ」。静かに話題になっていて、アンコール上映された映画です。アンコール上映も珍しいのに、映画館の外まで行列ができていて、ビックリしました。
90才のご夫婦は、名古屋近郊の高蔵寺ニュータウンにある300坪の土地に家を建て、雑木林と畑に囲まれた生活をしています。それには、理由があるのでした。ご主人は、かつて住都公団のエース建築家で、高蔵寺ニュータウンの計画の際に、自然の地形と緑を活かした理想的な都市計画を試みます。ところが、経済と効率最優先の高度成長期の日本ではその計画は取り入れられず、山は削られ谷は埋められて均質的な団地が出来ていきました。
それを見た主人公は、一面土だらけで何もない高蔵寺ニュータウンに300坪の土地を買い、家を建てて、自分の土地に雑木林を再生していきます。そして、老後を迎えた今でも土をつくり、自然暮らしを営みながら、少しずつゆっくりと理想の暮らしを創っているのでした。
すっかり都市化して自然とのつながりがなくなった暮らしに対して、本当の豊かさとは何か、老いの豊かさとは何かを問いかけるようなドキュメンタリー映画です。90才とは思えないお元気で前向きなご夫婦の暮らしには、失われたものや、本当に必要なものは何かなど、考えさせられます。年配の方が多く見に来られていたのも印象的でした。
多摩ニュータウンの端っこで暮らした幼稚園の頃に、見渡す限り何もない土だけの景色の中で、ぽつんと公園があって遊んでいた風景や、近代的な団地から一歩出ると豊かな自然と田舎の風景があって驚いたことなども思い出しました。
毎朝9:40から1回だけの上映です。28日金曜日までなので、興味のある方はお急ぎください。http://www.cinemaclair.co.jp/a6215.html
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