御津町郷土歴史資料館を再訪
御津町郷土歴史資料館(岡山市)を久しぶりに再訪しました。2002年頃に30代はじめに設計を担当させていただいた建物です。もともと西武藤邸という大きな旧家を旧御津町が寄贈を受け、新たに歴史資料館として建て替えを行いました。その際に、できるだけ旧家の梁や柱などの古材を再利用し、西武藤邸のイメージを受け継いでいくような設計としました。
エントランスホールには、旧家の大黒柱や大きな梁をシンボルとして設置し、天井の化粧垂木も旧家の床梁を再利用しています。古材と漆喰塗り、コンクリート打放しが調和した現代的で懐かしい空間になっています。
庭園広場に面した南側には交流スペースがあり、ゆったり寛げます。中央のポンプは、西武藤邸の井戸の石組みとともに保存したもの。
展示は、縄文・弥生時代の土器、古墳時代の陶棺や奈良時代の瓦など出土品が中心ですが、目玉として、近くの妙覚寺に伝わった花鳥図屏風(重要文化財)があります。改めて見ると、何と長谷川等伯の作でした。等伯といえば、狩野永徳と並ぶ安土桃山時代を代表する絵師です。本物は、岡山県立博物館に預けられており、レプリカを見ることができます。
展示室の南側には、きれいな石庭が広がります。この庭石も旧西武藤邸にあったものを再利用しています。すごく品がいいので、なかなかの作庭家のものかと思いますが、実は私のデザインです。学生時代からお寺が好きで、京都や各地のいいお庭をたくさん見た経験が活きました。今でもきれいに整備して下さっていて、うれしく思いました。
正面の蔵と裏側の長屋門は、以前からある建物を保存しています。角にある和室はお月見に使われていたそうです。宇甘川と山を展望できるお座敷なので、俳句の会などに利用されたら最適なのではないでしょうか。
御津町金川にあり、岡山市内から30分ほどですので、週末の歴史散歩にどうでしょうか?
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