新築から空き家(既存住宅)の活用へ
最近は、人口減少も新聞に載るようになり、空家問題も取り上げられるようになってきました。一方で、新築住宅の予算(ローンの限度額)は年々下がり、岡山でも1500万円前後のローコスト住宅が増えてきました。家計はローンの返済と子どもの教育費でいっぱいで、ローンの返済が終わったら70才の高齢者だわ、そう感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、政府が「収入は少なくてもゆとりのある暮らし」を手に入れるビジョンを示しているのをご存じですか?
学生時代に住宅政策の授業で習いましたが「住生活基本法」という法律があり、将来の住まいや暮らしのビジョンが示されています。戦後は「持ち家政策」といって、一家族で一軒の家を所有するのを目標にしてきたわけですが、21世紀に入って、大きく方針を転換しました。人口減で所得も減る時代にどうやって豊かな暮らしを手に入れるかを政策面で検討した解答が、「先進国で突出して高い住居費を、大幅に減らす」ということです。年収600万円で衣食住に550万円かかり50万円しか残らない生活から、年収450万円だけど衣食住に300万円しかかからないので150万円のゆとりのある暮らしを目指そうということです。
日本の住まいの平均寿命(使われる年数)は30年ってご存じですか。欧米諸国は100年以上です。なぜなら、家を買うのは中古が当たり前で、中古の家を買って住みつないでいくからです。新築の3000万円の家を建てるのではなく、同じ家を3人で住みつなげば一人1000万円で済みます。そうやって住居費を抑え、年収が少なくても日本人より豊かな暮らしが実現されているそうです。政府も、欧米先進国を見習い、日本も既存の住宅ストック(中古)を活用することで、より豊かな暮らしを実現する方針を住生活基本法で示しています。
アメリカで6割、イギリスで8割の人が中古住宅を購入する(新築は少数派)といっても、古い家に我慢して住んでいる訳ではありません。キッチンを新しくしたり、壁を塗り直したり、住まい手に合わせて手を入れて現代的に快適に暮らしています。以前、ニューヨークのブルックリンで泊めてもらったお宅は100年近く経っていますが、きれいで快適なお宅でした。そのための方法がリノベーションなんですね。
日本でも、東京や大阪などの大都市圏では、土地の値段があまりにも高く新築は手が届かないので、中古マンションのリノベーション事例はたくさんあります。上の事例もどれもきれいで、何十年も経った家だとは思えないですよね。
今は最後の新築中心の時代だと思いますが、あと5年もして今の20代の方が家を建てる際には、地方でもリノベーションが増えるのではないでしょうか。彼らは、服やバッグもリサイクルショップで買うのも当たり前で、中古が気にならないような気がします。それに、住宅ローンに70才まで追われる暮らしより、少ない住居費で旅行や人生を楽しむ暮らしの方が、冷静に考えたら楽しいし合理的ですよね。
我々も、リノベーションに取り組んで、新しい時代に備えたいと思いますので、乞うご期待! 具体的なリノベーション予定の建物もあるので、少し時間がかかるかもしれませんが、またお知らせしたいと思います。
Write a Reply or Comment